CorelDRAW Graphics Suite でトレース機能を使用する

ドロー系グラフィック・ツールは、ベクトルデータで画像が構成されています。そのため、拡大したあとにドットの粗さが気にならないだけでなく、あとから、色の修正や線の曲線を変更することが容易です。

素早くイラストを作成するには、作成するイラストに使用するイラストや写真をあらかじめ集めておくことが必要です。

すでに作成してある画像がある場合、トレース機能を使用すると素早くドロー系のグラフィック・ツールで扱いやすいベクトルデータに変換することができます。

挿絵のイラストなどは、かなり有効にベクトルデータに変換できます。そして、ベクトルデータに変換すれば、拡大しても画像の劣化がありません。そのため、書籍の挿絵のような小さな画像もプレゼンテーションデータやポスターで利用する大きな画像に拡大することができます。

画像をベクトルデータに変換するトレース機能は、イラストや図表のようなデータをベクトルデータに変換することは、得意ですが、写真をベクトルデータに変換することは、苦手です。

CorelDRAWでは、トレース機能を使用することで、イラストや画像をベクトルデータに変換することができます。

手作業で、輪郭に沿った線を描いてベクトルデータを作成したほうが、はるかにわかりやすい構造になりますが、トレース機能を使うと即座にベクトルデータに変換できます。

CorelDRAW上で、画像をベクトルデータに変換する場合は、CorelDrawで、ページを新規作成したあと、画像を貼り付けます。エクスプローラーから、画像をドラッグ＆ドロップする方法が簡単です。

作業しやすいように、画像の大きさを変更します。

画像を右クリックすると、コンテキストメニューの中にトレースに関係するコマンドが現れます。

クイックトレースを選択すると、画像からベクトル画像が作成されます。

元の場像は、消去されるわけではなく、作成された画像の下に存在します。

細かく条件を調整したい場合は、「中心線トレース」や「輪郭線トレース」コマンドを選択してください。

トレースツールは、挿絵やイラストでは、かなり使える機能ですが、写真に対しては、使い所が難しい機能です。

うまく使えない例として、複雑な背景を持つ画像をトレースしてみることにします。

トレースする画像を調整する

ページを作成し、イラストに使用する画像を貼り付けます。

画像を選択すると、「オブジェクトのプロパティ」に画像の情報が表示されます。

「切り抜きツール」を使用して、写真の必要な部分だけ切り抜きます。

写真によっては、輪郭線が判別しにくいものがあります。その場合、うまくトレースツールで認識できないので、画像を調整します。

ビットマップ・メニューから、イメージ調整ラボを選択します。

イメージ調整ラボを使い、画像の輪郭が強調されるようにパラメーターを調整します。

画像をトレースする

画像を選択すると現れる「ビットマップのトレース」メニューから、「輪郭トレース」、「ロゴ」を選択します。

トレースコントロールで、トレースの状態を調整したあと、バックグラウンドの削除、カラーの指定を選択します。スポイトツールを選択し、除去したい背景の色をShiftキーを押しながら選択していきます。（CorelDrawの複数選択は、Shiftキーを押しながらクリックです。）

背景を削除しました。完全には削除しできていません。鳥と背景が一体になっている部分がありますが、これ以上削除すると鳥本体部分も一緒に削除されます。

切り抜きツールメニューから、消しゴムを選択し、削除しきれなかった部分を消します。

消しゴムツールは、ドラッグしても使えますが、2点を指定することで、２つの点を結ぶ直線で削除できます。

不要な部分を削除して整えるとこのようになります。

あまり良好な結果になっていません。

背景が複雑な場合などは、あらかじめ画像の段階で背景を取り除き、トレースを実行したほうが、良好な結果が得られます。