RAID（ライド）
RAIDは、HDDが使えない状態が許容できない場合に適しています。複数のHDDに同じデータを保存、あるいは、分散して保存し、HDDが、壊れても、他のHDDが動作する事で、あたかも故障していないかのように動作します。そして、通常バックアップには分類されません。冗長化と呼ばれます。
個人や少人数のチームなどでは、RAID１やミラーと呼ばれる、２台のHDDを使い、それぞれに同じデータを書き込む方法を利用します。片方のHDDが故障しても、もう一つのHDDが動作しているため、作業を継続できます。
使用する２つのHDDは、製造時期も使用時間も等しくなるため、同じ時期に故障する可能性が高いので、早急に故障したHDDを交換して、RAIDを再構築する必要があります。
RAIDを再構築の作業ミスで、データを消失する事例がありますので、RAIDを再構築ではなく、正常に動作するHDDのデータを他のHDDにコピーした方が確実かもしれません。
他のRAIDの種類に、同時に１つのHDDが壊れてもデータを復旧できるRAID5や同時に２つのHDDが故障してもデータを普及できるRAID6があります。
RAID5で、２つ以上のHDDが壊れた場合、RAID6で、3つ以上のHDDが壊れた場合、データを復旧するには、データ復元サービスを使用する必要がありますが、復元は複雑になり、作業費用は、より高額になる傾向があります。
バックアップ
バックアップは、バックアップを行った時点のデータのスナップショットを保存しておく機能です。
バックアップを行った時点の状態のデータが保存されることになるため、何らかの問題により、以前の状態のファイルが必要になった場合に、過去のバックアップデータを取り出すことができます。
バックアップメディア
記録装置には、寿命があります。データは、記録装置の寿命で読み出せなくなる前に、他のメディアに、記録し直す必要があります。経年劣化で使えなくなることの他に、記録装置の突然の故障があります。そのため、大切なデータは、複数の場所に、保存した置くことが大切です。記憶装置は、時間が経つと読み書きする装置が、販売されなくなることがあるので、販売が停止された時点で、その装置で読み出すメディアに保存しているデータは、他の販売が継続されている記録装置のメディアに記録し直すことが大切です。
| 記録メディア | 寿命の目安 |
|---|---|
| HDD | 3~5年 |
| メモリカード・USBメモリ・SSD | 5年 |
| 一般光学ディスク | 5~10年 |
| M-DISC | 100年以上(公称) |
| 長期保存用光学ディスク | 200年(公称) |
| 磁気テープ | 30年(LTO2 RW テープカートリッジ) |
| クラウドストレージ | サービスが継続していれば、契約期間 |
光学ディスク色素の紫外線に対する耐久強度は、「シアニン色素＜フタロシアニン色素＜アゾ色素」の順
サービス提供業者が、管理してくれるので、データを失う危険性は少ない。ただ、利用料の負担は大きいという問題があります。ただ、企業で扱うデータであれば、データを失ったときの被害が大きく、誰かに責任を押し付ける傾向があります。そのため、企業で、データを保管するシステムを任せられた場合、多少利用費用が高くても、クラウドストレージを使う選択肢は、検討したほうが良いかもしれません。
記憶容量当たりの価格で考えるとHDDが一番安い。しかし、HDDは、突然死の危険がある。そのため、安全性を高めるには、２ヶ所以上に保存する必要があります。
しばらく、使わないデータであれば、光学ディスクに保存する方法が良さそうです。
M-DISC
M-DISCを使用するには、書き込みドライブが、M-DISCに対応している必要があります。
M-DISCには、DVD-R(4.7GB)、BD-R(25GB、実際に記録できるのは、22.5GB)、BD-R DL(50GB)、BD-R XL(100GB)があります。価格差があまりないので、BD-R XL(100GB)がお得感があります。この記事を書いている時点で、１枚当たり 1000円強です。
三菱化学メディアとアイ・オー・データ機器が販売しているものが取扱が多いです。どちらもVerbatimブランドなので、三菱化学メディア製です。
三菱ケミカル、Verbatimブランドの光ディスク事業などを台湾企業に売却というニュースがリリースされているので、そのうち、三菱化学メディア製ではなくなると思います。
長期保存用BD-R 200年アーカイブ
業務用途の製品群です。M-DISKとの関係はよくわかりません。こちらも専用ドライブ（アーカイブ専用ドライブ）で書き込む必要があります。
長期保存用BD-R 25GB 200年アーカイブ PSBS25RSJP-10P
DMA記録で１00年以上の推定寿命 DMA記録でなくても寿命特性良好。
磁気テープ
業務用途で、大量のデータをバックアップする場合は、磁気テープ（LTOテープ）が容量が大きく現実的です。
利用するには、テープドライブだけでなく、テープドライブに対応したアプリケーションが必要です。
バックアップ構築ガイド 富士通
システムをバックアップする
システムが機能しなくなった場合は、Windows10であれば、ほとんどの場合、最新のWindows10インストールディスクを作成し、修復インストールを行うと起動可能にすることができます。
システムをインストールしているHDDが故障した場合や、パソコンを一台しか持っていないため、最新版のインストールディスクを作成できない場合には、システムのクリーンインストールが必要になります。アプリケーションをインストールしたり、各種設定を行って、問題なくパソコンが使える状態になるまで、一週間ほど必要になります。設定の内容を記録した情報もHDDと一緒に消失してしまうと、まともに使えるまで、さらに時間がかかります。設定情報やライセンス情報は、ノートに手書きしておくなど、パソコンが使えなくなっても確認できる状態にしておくことが必要があります。
この時、アプリケーションをインストールした状態のCドライブの状態をリカバリーディスクとして保存しておくと、２時間ほどで、パソコンを使える状態に戻すことができます。（HDDが壊れた場合は、HDDの交換が必要です。）
バックアップするデータを限定する
データのバックアップには、コストと手間がかかるので、バックアップするデータを限定する必要があります。
写真など、変更しないデータであれば、HDDの他に、BD-R(一層 22.5GB)に、保存しておくなどの方法で、データの消失を避けることができます。
特に、写真、書籍、音楽や自分でアプリケーションを使って作成したデータは、BD-Rに保存しておくことをお薦めします。
データを分別する
- システムとアプリケーション（アプリケーションをCドライブ以外にインストールすると問題が起こる可能性があります。）
- マイ○○フォルダ（Cドライブ以外に移動します。）
- 自分で作成したデータ（ファイルが、変更される）
- 写真、音楽、書籍データ（ファイルは増えるが変更されない）
システムとアプリケーションは、システムのバックアップがされていれば、多少古くても、アプリケーションを数個インストールし、Windowsをアップデートするだけなので、復旧に必要な時間は、大幅に低減できます。そのため、頻繁に最新の状態にしておく必要性は低いです。
マイ○○フォルダは、アプリケーションに必要なファイルだけでなく、設定も保存されます。ユーザー辞書や自分がアプリケーションで作成したデータが、さまざまなファイルの中に紛れています。アプリケーションをインストールすると生成されるデータは、バックアップする必要はありません。ユーザー辞書や自分がアプリケーションで作成したデータを選別してバックアップすると、バックアップする対象ファイルを大きく減らすことができます。
自分で作成したデータは、作成途中のものは、ファイルが更新されます。作成が終了したものは、ファイルが変更されることはありません。作成が終了したものは、BD-Rに保存しておくと良いと思います。
写真、音楽、書籍データは、ファイルは増えますが、ファイルは変更されません。ファイルが増えるたびに、BD-Rに保存しておくと良いと思います。
バックアップを自動化する
データのバックアップは、面倒です。そして、データのバックアップを行わなくなってから、データを失います。そのため、自動でデータをバックアップすると意識せずにバックアップを継続することができます。
しかし、バックアップメディアにHDDを使用する場合は、活動しているデータの倍以上の空き容量のあるHDDが必要です。バックアップに使用するHDDの容量を減らすためには、変更されないデータは、BD-Rなどの光学ディスクにコピーしバックアップとし、バックアップの自動化の対象から外します。
バックアップツール
Acronis True Image 2019
Acronis True Imageは、よく使われているバックアップソフトです。
クラウドストレージ
データセンターで管理されている記録装置にバックアップデータを保存するサービスがあります。
データ消失の可能性は、限りなく低くなりますが、毎月の利用料が必要になります。
- クラウドバックアップサービス「AOSBOX Cool」
