大規模は文書をWriterで作成すると、動作が遅くなります。それを避けるためには、小さなファイルに分割して作成する方法です。作成した小さなファイルをまとめて一つの文書として扱う機能がマスタードキュメントです。
マスタードキュメントの仕組みを使って、文書をまとめて印刷することができます。
バージョン7.1.4.2で確認しました。
複数の文書ファイルをまとめて管理する機能
コンピューターの処理能力が高くなった現在では、使用することは少なくなりましたが、ワープロソフトは、コンピューターの能力が今よりもずっと低いときから存在していたことから、小さなファイルで操作し、それをまとめて管理する方法が存在しています。
Microsoft Officeでは、「グループ文書」、「サブ文書」
Microsoft Officeでは、「グループ文書」という機能があり、「グループ文書」で、複数の文章(サブ文書)をまとめて扱うことができます。
この機能を使うことで、それぞれの章は、独立した文書で作成し、これらのそれぞれの文書を「サブ文書」として参照する「グループ文書」を作ります。連続したページ番号や目次、索引などを「グループ文書」で作成することで、それぞれの文書が別々のファイルでも、別々の文書であることの扱いにくさを避けることができます。
Libreoffice Writerでは、「マスタードキュメント(マスター文書)」、「サブドキュメント(サブ文書)」
Libreoffice Writerでは、「マスタードキュメント(マスター文書)」、「サブドキュメント(サブ文書)」が、相当する機能になります。
Libreoffice Writerで、マスタードキュメントを印刷する場合のサブドキュメントの下準備
文書を分割して作成して、後から、サブドキュメントとして、マスタードキュメントとしてまとめて扱うことを考えている場合、文書スタイルに仕込みをしておく必要があります。
前の文書ファイルとの接続スタイル
複数の文書を連結する時、連結スタイルを指定したい場合があります。
たとえば、章ごとに文書ファイルを作成していた場合、前の章が終わった後、直接連結するのではなく、新たなページに印刷したい場合があります。両面印刷する場合は、同じ紙の裏表に異なる章が印刷されないように、横書きであれば、右側のページから開始したい時があります。
つまり、3つの状況が考えられます。
- 直接すぐ後ろの行に連結する(章より細かい単位で分割した場合)
- 改ページしてサブドキュメントを配置する[片面印刷]
- 奇数ページからサブドキュメントを配置する(横書きであれば、右側のページ)[両面印刷]
Libreofficeでは、連結するファイルの先頭で、接続方法を指定する方法は、用意されていないようです。
これらの接続方法を指定するためには、最初の行に使用する文字に連結方法をしていしたスタイルを指定する必要があります。(※この機能は、あまり使われていないのかもしれない。)
文書の最初の行のスタイル
Libreofficeでは、連結するファイルの先頭で、接続方法を指定する方法が用意されていない(やり方は存在するが操作方法が見つけられないだけかもしれない)ので、文書の最初の行に、同じスタイルを設定する必要があります(あるいは、接続方法を指定した複数のスタイル)。
文書の先頭に記述する内容
複数の文書をマスタードキュメントでまとめて使用する文章の最初の行に何を記述しているか把握し、記述の仕方を統一するように変更する必要があります。
最初の行に記述する内容の例
- 章番号 例) 第1章、Chapter 1など
- 参照ページの番号 例) [0035]など ※翻訳文などで、後から、該当部分を参照できるように、原書のページ数を記述する目的。
これらの傾向から、本文のスタイルに、最初の行に設定するスタイルを作成して対応することにしました。
文書の先頭スタイルの設定
スタイルの管理は、スタイルメニューから、スタイルの管理を選択します。
あるいは、右端中央の三角をクリックし、スタイルの管理アイコンをクリックします。
右側の「スタイルと書式設定」ボタンを押し、「スタイルと書式設定」枠を表示します。最初の行に使用するスタイル(「本文」を使用)を選択した後、右クリックし、新規を選択します。
管理タブを選択し、わかりやすい「名前」を付けます(ここでは、「本文_奇数ページから開始」)。「次に続くスタイル」は、改行した後に自動で変更されるスタイルです。OKを押して終了します。
サブドキュメント(マスタードキュメントに追加するドキュメント)の最初の行のスタイルを変更する
サブドキュメントとして使用する文書ファイルをマスタードキュメントに追加する前に、最初の1行目のスタイルを他の部分で使用していないスタイルに変更します。
LibreOffice Writerは、スタイルを手掛かりに、改ページを挿入するため、サブドキュメント(マスタードキュメントに追加するドキュメント)の最初の行に、他の位置に使用していないスタイル(先ほど作成したスタイル)を適用します。
スタイルは、サブドキュメントではなく、マスタードキュメントのものが適用される
マスタードキュメントでは、テンプレート機能は、利用できないようです。それにも関わらず、スタイルは、サブドキュメントではなく、マスタードキュメントのものが適用されます。
そのため、マスタードキュメントを作成した後、手動でスタイルを編集、追加する必要があります。かなりの手間がかかる上、設定漏れが発生しやすい状況です。
スタイルを設定したあと、マスタードキュメントのテンプレートとして保存しておきましょう。
Libreoffice Writerで、マスタードキュメントを作成する
マスタードキュメントを新規作成します。新規作成から、マスタードキュメントを選択します。
あるいは、ファイルメニューから、新規作成、マスタードキュメントを選択します。
新規に作成されたマスタードキュメントでは、マスタードキュメントのナビゲーターが表示されています。表示されていない場合は、F5を押して、表示させます。
ページスタイルで、余白設定する
印刷を目的としている場合、余白を設定して、閉じたときに見やすくします。特に、両面印刷した後、ホットメルト製本をして使用する場合、綴じる側の余白を多めに設定します。
書式から、ページスタイルを選択します。
ページタブを選択して、余白を設定し、レイアウト設定のページレイアウトを左右対称にすると両面印刷設定になります。
マスター文書に、サブドキュメントを追加する
ナビゲーターに、文書を追加します。エクスプローラーから、ドラッグ&ドロップする方法が簡単です。順序の変更もドラッグで行えます。
マスタードキュメントのナビゲーターは、単独の文章の場合と異なり、文書の位置に移動することには使用できません。選択すると、選択した文書が開かれ、編集できるようになります。
ナビゲーターでは、そのほかの操作も行えます
マスタードキュメントのナビゲーターで、サブドキュメントを追加するために、挿入アイコンをクリックし、ファイルを選択します。ファイルメニューが開くので、挿入するファイルを選択します。
ナビゲータの項目を選択したあと、上下アイコンで、項目の順序を変更できます。また、ドラッグでも順序を変更できます。
項目を右クリックすると、更新、編集、リンクの編集、挿入、削除が選択できます。挿入は、選択した項目の前に、挿入されます。
サブドキュメントの接続方法を設定する
作成する文書の状況によって、サブドキュメントとサブドキュメントの接続には、以下の3つの形式が必要になります。
- 直接すぐ後ろの行に連結する
- 改ページしてサブドキュメントを配置する[片面印刷]
- 奇数ページからサブドキュメントを配置する(横書きであれば、右側のページ)[両面印刷]
LibreOffice Writerでは、最初の行のスタイルに関連づけて、接続方法を指定しているため、他の位置で使用していないスタイルをしている必要があります。
直接すぐ後ろの行に連結する
何も設定しないと、直前のサブドキュメントの直後の行の直後に、次の行に追加されます。
マスタードキュメントで、最初の行に設定したスタイルを編集します。「スタイル」の「体裁タブ」の「区切り」に何もしていされていないことに着目してください。
改ページしてサブドキュメントを配置する[片面印刷]
改ページして、サブドキュメントを配置する動作は、おそらく、片面印刷する場合に利用する改ページして印刷したい場合に使用します。マスタードキュメントで、最初の行に設定したスタイルを編集します。「スタイル」の「体裁タブ」の「区切り」にある、「挿入」にチェックを入れ、「種類」で、「ページ」を指定します。
奇数ページからサブドキュメントを配置する[両面印刷]
奇数ページにサブドキュメントを配置する動作は、おそらく、両面印刷をする場合に使用されるとおもいます。マスタードキュメントで、最初の行に設定したスタイルを編集します。「スタイル」の「体裁タブ」の「区切り」にある、「挿入」にチェックを入れ、「種類」で、「ページ」を指定します。さらに、「ページスタイル付き」にチェックを入れ、「右ページ」を指定します。
マスタードキュメントをLibreoffice文書としてエクスポートする
ファイル、エクスポートを選択します。
ファイルの種類リストで、ODF文書ドキュメントのファイル形式を選択し、エクスポートをクリックします。
※サブドキュメントは、セクションとしてエクスポートされます。セクションのないプレーンテキストのドキュメントを希望する場合は、書式、セクションを使用して、セクションの保護を解除し、削除します。