様々な分野でコンピュータが有効利用されており、それは、化学の分野でも同じです。
構造式描画アプリケーション
学生時代、化学が苦手な人を悩ませる大きな原因の一つが化学構造式です。名前で表すと長く複雑になる分子構造を図で簡略的に表記できるので、非常に便利です。
ただ、手書きで描くと何度も何度も描き直す必要があるので、非常に手間がかかる上、記述ミスを伴います。そこで、コンピューター上で図として管理すれば、かんたんに同じ化学構造式が貼り付けるだけで利用できます。
一般的なドローソフトでも描くことはできますが、化学構造式は、記述法則があるので、専用の記述アプリケーションを使用するとかなり早く描くことができます。
チームや組織で作業している場合は、書式を統一し、描いたモデルは、共有ファイルとして管理すると、必要になるたびに描くことなく、すでに誰かが描いたモデルを利用できるので、図の統一ができるとともに、報告書の作成業務が効率化できます。
合成化学の分野でよく使用される、分子構造式に加えて、生化学分野で使用されるリボンモデルが存在します。
化学構造式描くアプリケーション
ちなみに、この化学構造式は、意外なことに、ほとんどの場合、合成化学分野でしか使用されません。 分子の構造や他の分子との反応性を分子構造から推測しようとする視点が、他の分野ではほとんど必要ないからです。しかし、有機化合物の分析、合成ルートの探索、薬理活性の推測などの分野では、化学構造式は、頻繁に使用されています。
製品
- Chemdraw(一番使われているが、学生、教職員版はともかく、商業利用では高価)
- ACD/ChemSketch(学生・個人利用では無料。商業利用だとお高め)
- ChemDoodle(程々の価格。商業利用で使うには良いかも)
- MarvinSketch(学生・個人利用では無料。商業利用時の価格は不明)
おそらく無料で利用できる思われるもの(利用許諾は、ご自分で確認してください。)
- BKChem
- SketchEl
- molsKetch
- EasyChem
- PubChem Sketcher(オンラインアプリ)
- http://avogadro.cc/
リボンモデル
リボンモデルは、タンパク質を表すのに使用されます。
化学物質データベース
構造式描画アプリケーションで作成された構造式のMOLファイル形式のデータは、オンライン化学情報データベースとして公開されている場合があります。
- ChemSpider
- Chemical Book
- J-GLOBAL (日本化学物質辞書Web(日化辞Web)とJ-GLOBALは2016年3月に統合しました。 )
Texで化学構造式を描画する関連のリンク
TeX Alchemist Online (外部サイト)
化学構造式を X Υ MT E X で描く (外部サイト)
京都大学 学術メディアセンター全国共同利用版[広報]Vol.6 No.1 (Mar. 2007) 46-51
TeXで分子構造式を描くパッケージ「chemfig」 (外部サイト)
化学教諭のための入門(センター試験バージョン) (外部サイト)
分子模型
本を読みながら、手に取って、実際に立体を確認するには、分子模型が便利です。糖やアミノ酸は、分子構造式では、あたまに入ってこないことが多いです。
一番使いやすい分子模型と思われる「HGS分子構造模型」は、製造元が倒産してしまったことにより、再生産は期待できません。 必要な方は、入手可能なうちに入手されることをおすすめします。
同等か、より使いやすい分子模型は、しばらく登場しないと思われます。